研修・技能実習の趣旨
今日,国際関係が一層緊密化する中で,いずれの国にも,国際社会において果たすべき役割があります。特に,我が国を含む先進諸国には,開発途上国に対して様々な面で支援を行うことにより,開発途上国のみならず国際社会全体の発展を目指すための協力・貢献を行うことが期待されています。
国際貢献には,財政的な援助を行うこと,直接的な投資を行うこと,技術の移転など様々な方法がありますが,我が国の研修・技能実習制度は,開発途上にある国々に対して技術・技能を移転することを目的として,我が国に研修生を招いて技術移転による人材育成を行い,それらの国々の発展を支援するという,長く広くその効果が浸透していく国際協力・国際貢献です。
研修・技能実習を終了して本国に帰った開発途上国の人々は,修得した技術や技能,知識を利用して,自分たちの会社の,その産業の,ひいては国家の発展に寄与する人材として活躍することが期待されます。
つまり,ひとつの企業での研修生・技能実習生の受入れが,実は我が国の国際協力・国際貢献の重要な一翼を担っているというわけです。
研修・技能実習制度の沿革
■研修
日本経済の国際化を背景に
外国人研修生の受入れは,多くの企業が海外に進出するようになった昭和40年代頃から,海外進出した日本の企業が,現地法人や取引関係等のある企業の社員を我が国に呼び,関連する技術や技能,知識を我が国の会社の中で効果的に修得させた後,その社員が現地の会社に戻り,修得した技術等を活かして活躍することを期待して行ったのが始まりです。
外国人研修生受入れの実績が積み重ねられる中,法的な枠組が整備され,平成2年にはそれまで外国人研修生の受入れが困難であった中小企業にも外国人研修生受入れの途を広げました。これにより,実際に開発途上国のニーズにあった汎用性の高い技術等が移転されることになりました。
■技能実習
より充実した技術移転の展開
さらに,平成5年には,研修活動により一定水準以上の技術等を修得した外国人について,研修修了後,研修を受けた企業等と雇用契約を結び,研修で修得した技術等により実践的な磨きをかけられるようにする「技能実習制度」が創設されました。
制度創設以来,この制度を活用できる職種が逐次拡大され,また,滞在期間の延長等の改善措置が講じられるなど,技術移転による国際貢献は着実に定着し実効性を増しています。
研修・技能実習制度の仕組み
| 研修の基本要件 |
外国人が実務研修を含む研修を行うためには,次の要件に適合する必要があります。
■研修内容等について
①単純な反復作業の研修ではないこと |
②18歳以上で,研修修了後本国に帰り,日本で修得した技術等を活かした業務に就くことが予定されていること |
③現在の技術等のレベルを向上させるために日本で研修を受ける必要があること |
■受入れ機関について
・海外関連企業から受け入れる場合
次のいずれかの関係が必要となります。
①海外の現地法人・合弁企業(出資比率20%以上)
②海外の取引先企業(相当規模又は期間の取引実績が必要)
・海外関連企業がない場合
次の団体を通じて受け入れることができます。また,(財)国際研修協力開発機構(JITCO)の推薦を受けて研修生を受け入れてきた研修などで法務大臣が適正と認めて新たに個別に告示した場合にも受け入れることができます。
①中小企業3団体(商工会議所,商工会,中小企業組合)
②職業訓練法人
③農業協同組合
④公益法人(財団・社団)
■受入れ人数枠と非実務研修の割合
・研修生の受入れ人数 |
原則として,受入れ企業の常勤職員20名につき研修生1名となります。
なお,中小企業団体などを通じて受け入れる場合や(財)国際研修協力機構の推薦を受けて研修生を受け入れてきた研修などで法務大臣が適正と認めて新たに個別に告示した場合には,受入れ人数の上限が緩和されます。 |
・非実務研修の割合 |
実務研修を行う場合には,原則として研修時間の3分の1以上の時間を日本語教育などの「非実務研修」に当てる必要があります。 |
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| 技能実習の基本要件 |
研修から技能実習に移行するためには,次の要件に適合する必要があります。
■対象者
研修活動で一定水準以上の技術等を修得し,かつ,在留状況が良好であると認められる人で,研修を受けた機関と同一の機関において,同一の技術等を雇用関係の下で,より実践的に修得しようとする人が対象となります。
■職種
「技能実習制度推進事業運営方針(平成5年4月5日厚生労働大臣公示)」に基づき認められている技能実習の対象業種は,職業能力開発促進法に基づく技能検定又は(財)国際研修協力機構が認定した評価システムによる62職種です。
■滞在期間
①研修期間のおおむね1.5倍以内であること。ただし,研修活動の期間が9月を超える場合はそれ以上でも認められます。 |
②研修と技能実習の滞在期間の合計が3年以内であること。 |
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| 研修と技能実習の違い |
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研修も技能実習も技術,技能等を修得する活動という点では同じですが,研修生は就労が禁じられている一方,技能実習生はより実践的に技術,技能等の習熟を図るために就労が認められている点で大きな違いがあります。
両者の違いは次のとおりです。
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研修生 |
技能実習生 |
| 在留資格 |
「研修」 |
「特定活動」 |
| 就労活動 |
不可 |
可 |
| 労働法規 |
適用なし |
適用あり |
JITCO
財団法人国際研修協力機構(Japan
InternationalTrainingCooperationOrganization=略称JITCO)は,外国人研修制度の健全な推進を目的として,外国人研修生の受入れを様々な面から支援するため,法務省,外務省,通産省(現経済産業省),労働省(現厚生労働省),建設省(現国土交通省)の5省が共管して平成3年9月に設立された財団法人です。 |
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| 研修・技能実習の流れ(例) |
■企業が独自に研修生を受け入れ,技能実習を実施しない場合
| 研修生 |
実務研修実施機関 |
| 合弁企業・現地法人の常勤職員(設立予定含む) |
左記企業の親会社または子会社等 |
| 1年以上の取引実績又は過去1年間に10億円以上の取引実績のある機関の常勤職員 |
左記企業と左記の取引関係等のある企業 |
| 外国の公務員等 |
- |

期間は例示です。
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■団体が研修生を受け入れ,技能実習に移行する場合
| 受入れ団体 |
実務研修実施機関 |
| 商工会議所・商工会 |
会員の中小企業 |
| 中小企業団体 |
団体の組合員 |
| 職業訓練法人(社団) |
社員の中小企業 |
| 農業技術協力を行う公益法人又は農業協同組合 |
農業を営む組合員 |
| 職業訓練法人(財団) |
- |
| 公益法人 |
- |

期間は例示です。 |
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技能実習対象職種一覧(平成18年4月現在)
| (1)技能検定の基礎級(51職種) |
| ■ |
機械・金属関係(15職種)
鋳造,鍛造,機械加工,金属プレス加工,鉄工,工場板金,めっき,アルミニウム陽極酸化処理,仕上げ,機械検査,ダイカスト,機械保全,電子機器組立て,電気機器組立て,プリント配線板製造 |
| ■ |
繊維関係(7職種)
染色,ニット製品製造,婦人子供服製造,紳士服製造,帆布製品製造,布はく縫製,寝具製作 |
| ■ |
建設関係(20職種)
さく井,建築板金,冷凍空気調和機器施工,建具製作,石材施工,建築大工,かわらぶき,とび,左官,タイル張り,配管,型枠施工,鉄筋施工,コンクリート圧送施工,防水施工,内装仕上げ施工,熱絶縁施工,サッシ施工,ウェルポイント施工,表装 |
| ■ |
その他(9職種)
家具製作,印刷,製本,プラスチック成形,強化プラスチック成形,ハム・ソーセージ・ベーコン製造,水産練り製品製造,塗装,工業包装
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| (2)(財)国際研修協力機構認定関係職種(11職種) |
・建設機械施工((社)日本建設機械化協会)
・溶接((社)日本溶接協会)
・缶詰巻締((社)日本缶詰協会)
・漁船漁業((社)大日本水産会)
・紡績運転((財)日本綿業技術・経済研究所)
・織布運転((財)日本綿業技術・経済研究所)
・加熱性水産加工食品製造業(全国水産加工業協同組合連合会)
・非加熱性水産加工食品製造業(全国水産加工業協同組合連合会)
・耕種農業(全国農業会議所)
・畜産農業(全国農業会議所)
・食鳥処理加工業((社)日本食鳥協会)
※括弧内は試験実施団体です。 |
適正な研修・技能実習の実施に向けて
研修・技能実習は全般的に適正に実施されていますが,制度の趣旨を十分に理解せず,研修生に所定時間外の活動や休日に作業をさせたり,日本語教育等所要の非実務研修を計画のとおり実施しないといった不適切な事例も見られます。
入国管理局では,このような研修・技能実習に関する不適正な取扱いを「不正行為」等として次のように類型化し,該当機関に対しては研修生の受入れ停止等の措置を執ることとしています。
| 「不正行為」の具体的内容 |
■二重契約
在留資格認定証明書交付申請時に提出された研修契約と異なる契約が存在する場合などです。
■研修・技能実習計画との齟齬
非実務研修(座学研修等)を実施しないにもかかわらず,当該研修を実施する旨の研修計画書を提出したような場合などです。
■名義貸し
申請書類上に記載された研修生・技能実習生の受入れ機関とは別の機関が研修・技能実習を行っている場合です。
■虚偽文書の作成・行使
受入れ機関の常勤職員数に偽りがあった場合や地方入国管理局に対して行う監査報告書の内容が実態と異なっていた場合などです。
■研修生の就労活動
研修生に所定時間外,休日等に活動を行わせるなど,研修ではなく就労活動と認められる行為をさせていた場合です。
■研修手当の不払い・人権侵害
研修生及び技能実習生に対し,研修手当の不払いや直接払い違反,暴行・監禁,旅券・外国人登録証明書の取り上げ等悪質な人権侵害行為を行っていた場合です。
■監理の懈怠
研修生及び技能実習生の失踪等問題事例が発生した事実を地方入国管理局等に対し届け出ていなかった場合や研修事業主体が必要な監査報告を怠っていた場合です。
■違法な形態による外国人の雇用
第二次受入れ機関及び実習実施機関において,不法就労者を雇用するなど外国人の就労に係る不正な行為を行った場合です。
■その他
後ほど述べる「不正行為に準ずる行為」に認定された後,改善策を提出して受入れを再開したものの,再度同様の問題を生じさせた場合です。
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| 「不正行為」にあたると判断された場合の取扱い |
■帰国指導
「不正行為」があったと認定されたときは,その「不正行為」を行った研修事業主体・第二次受入れ機関又は実習実施機関(以下「不正行為機関」といいます。)の経営者又は管理者に対して,現に受け入れている研修生・技能実習生を在留期間内に帰国させ,帰国後地方入国管理局等に対し速やかに報告を行うよう指導します。ただし、不正行為と認定された理由に関して研修生等に責任がなく、研修・技能実習制度の趣旨に沿った適正な研修等の実施体制及び我が国で修得した技術・技能又は知識を帰国後に活用できるような体制の確保がなされるなどした場合には、引き続き在留することが認められることがあります。
■新規研修生の受入れ停止
「不正行為」にあたると判断された場合は,3年間研修生・技能実習生の受入れを行うことができません。
■改善措置の提出
「不正行為」があった場合,その後3年以内は研修生及び技能実習生の受入れを認めないこととしてますが,3年を経過した後であっても,問題再発のおそれがなく,受入れ機関に改善策の提出を求めた上で適正な研修の実施が見込める場合に限り,研修生を新規に受け入れることができます。
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| 不正行為に準ずる行為 |
上記「不正行為」に該当するものの,悪質性が少ないものなどについては,「不正行為に準ずる行為」として認定することとしています。
「不正行為に準ずる行為」に認定された場合は,受入れ機関に対し改善策の提出を求め,適正な研修及び技能実習の実施が可能であると判断されるまで,研修生及び技能実習生の受入れを認めない措置をとることとしています。
※1研修事業主体とは,法務省の告示により要件の緩和を受けて研修の受入れの事業を行う中小企業団体などをいいます。
※2第二次受入機関とは,研修事業主体の下で,研修を実施する企業などをいいます。 |
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